放射線科

【癌性疼痛緩和治療法】

概要と特色診療担当表医師紹介癌性疼痛緩和治療法

当院ではストロンチウム-89(商品名:メタストロン注、以下89Srと略記します)による癌性疼痛緩和治療を2010年6月より開始しました。

 89Srは、がんの骨転移による骨の痛みを和らげるための注射用のお薬です(骨移転そのものの治療のお薬ではありません)。89Srはカルシウムと似た性質のお薬で、骨転移病巣における骨の代謝の活発な部位に集まりやすい性質を持っています。89Srは骨転移病巣に集まるとベータ線という放射線を放出し、そのベータ線が骨の痛みを和らげます。89Srから放出されるベータ線は、平均2.4mm(最大8mm)の範囲しか影響をおよぼしません。多発骨転移などで体の外から行う放射線治療が困難な場合でも疼痛の緩和がはかれる可能性があります。

 治療を受けられた方の約70%の方で、疼痛が緩和されたと言われています。治療効果は1回の治療で投与後1~2週間から緩除に現れ、約3~6ヶ月持続します。(投与数日後に一時的に痛みが強くなることもありますが、自然に治まります)
 反復投与も3ケ月あければ可能で、鎮痛剤(NSAIDs、オピオイド)やホルモン治療あるいはビスホスホネート系薬剤とも併用できます。

 固形癌(特に前立腺癌、乳癌、肺癌)において骨シンチグラフィを実施して集積増加部位と一致することが条件です。
 本治療を行うには以下のすべての基準を満たすことが必要です。

1 多発性骨転移による疼痛がある(脊髄圧迫・骨折の除外)
2 骨シンチグラムで疼痛に一致する部位に集積増加がある。
3 NSAIDやオピオイドなどの鎮痛薬で十分な疼痛管理が困難である。
4 化学療法後又は外照射治療後の最低値が確認されている。 (骨髄抑制のある化学療法又は外照射治療の前治療がある場合、化学療法後又は外照射治療後の最低値からの回復が確認されている必要がある。)
5 ●白血球数が3,000/mm3以上。 ●好中球数が1,500/mm3以上。 ●血小板数が75,000/mm3以上。 ●ヘモグロビンが9.0/g/dL以上。 血液学的検査でこれらの値以下であれば、必要に応じ骨髄穿刺、骨髄生検等で骨髄抑制の状況を確認し、重篤な骨髄抑制がなければ慎重投与。重篤な骨髄抑制のある患者への投与は禁忌である。
6 重篤な腎不全がない。
7 DICは除外され、急激な血小板減少はみられない。
8 妊娠はしていない。
9 1ヵ月以上の生存期間が見込める。
10 現在、化学療法剤は使用していない。 (化学療法との間隔及び患者の血液像に十分に注意すること)
11 現在、外照射治療は実施していない。
12 メタストロン注の治療について説明に基づき、患者同意(口頭可)を得ている。
13 再投与の場合、前回の治療で効果がみられ3 ヵ月以上経過している。

 体重あたり一定の89Srを外来で1度静脈注射を行うだけの簡単な方法です。基本的には入院の必要はありません。

1.骨髄抑制
 貧血や血小板減少、汎血球減少(赤血球、白血球、血漿板などの数がともに減少する)はみられます。
このようなことから注射の前後には定期的な血液検査を受けていただきます。
2.一過性の疼痛増強(pain flare)
 5%~10%の症例で投与後に、痛みが増強することがありますが自然に治まります。どうしてもの時は数日間、鎮痛薬の増量が必要になることがあります。

 この薬剤による治療費用は3割負担の方で約10万円となります。

ページトップ