循環器内科

【カテーテルアブレーション治療について】

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カテーテルアブレーション治療について

 カテーテルアブレーション治療とは脈拍数が速くなる不整脈(頻脈性不整脈)に選択される治療方法の一つであり、不整脈の原因となる心臓内の異常興奮部位や回路を電気的に焼灼する治療です。薬物療法と異なり根治を目的とした治療と言えます。当院のアブレーション治療の歴史は2001年12月12日から始まり、年々治療件数が増加し2013年7月には1000例を達成しました。最近では心臓を立体的に見ることを可能とする三次元マッピングシステムの進歩が著しく、より安全で効率の良い治療が可能となっています。当院においては2010年1月に三次元マッピングシステムであるEnsite NavXを購入し、多くの治療症例に使用していました。そして、2013年11月にCARTO® 3を購入しさらなる治療精度の向上を得ています。3Dマッピングシステムを使用して治療をする場合には、準備として患者さんの体に心臓を挟む形で体の前後左右に10枚程度のシールを貼ります。このシールは各シール間で体に感じない程度の微弱な電流を流します。心臓内に心臓を焼く電極カテーテルが挿入されると流れている電流が遮られるため、遮られている位置をEnsite NavXやCARTO® 3の機械内部で計算して、心臓の立体的な絵の中に電極カテーテルの位置を表示させます。CARTO® 3はさらに検査台の下に磁界を発生させるセンサーを取り付けることで、心臓の拍動や呼吸に影響されにくい空間を作ることを可能としました。磁界の空間を作ることで、精度が増した治療を患者さんに受けていただけるようになりました。その精度は±1mmであり、CARTO® 3で表示される電極カテーテルの位置は術者のイメージともほぼずれが無い状態と言えます。
 これらのことができる三次元マッピングシステムを使用することで、電極カテーテルの心臓内での位置情報や動きが放射線画像に加え見ることが可能となりました。その結果、カテーテルの急な位置変化にも早く気付くことができ、誤った焼灼を行わないことで治療の安全性の向上や、正確な焼灼による治療時間の短縮、透視時間が減少することで患者さんの放射線被爆量の軽減にもつながってきます。
 カテーテルアブレーションは、多くの頻脈性不整脈に対して適応がありますが、近年最も治療を受けられるのは「心房細動」の方です。心房細動は、本来は規則的な脈拍を作っている心房内の電気興奮がバラバラになってしまう不整脈であり、自然には元に戻らない持続性心房細動に移行したり(自然に戻るタイプを発作性心房細動といいます)、動きが低下した心房内で生じた血栓がはがれて脳血管に詰まることで脳梗塞(塞栓症)を来たす可能性がある不整脈です。加齢、高血圧などの関与もありますが、特に原因のない方でも生じうる不整脈です。発作性心房細動では約90%の方で左心房につながっている「肺静脈」という血管から異常な興奮が生じ、この興奮が心房細動を引き起こしていると考えられています。このためアブレーションでは肺静脈と左心房の間の伝導を断ち切るために、肺静脈の周囲を円周状に焼灼します(肺静脈隔離術)。さらに持続性心房細動の方では、肺静脈隔離のみでは心房細動の抑制が困難な場合も少なくないため、他の異常興奮部位や左心房の線状焼灼を追加します。治療は局所麻酔及び静脈麻酔で行いますが、発作性心房細動では約3時間程度の治療であり、当院では2泊3日の入院を原則としています。心房細動アブレーションは他のアブレーションよりやや複雑でもあり、術者のみでなく治療に関わるスタッフの総合力が問われる治療と考えられ、日本循環器学会のガイドラインでも年間50例以上の治療を行っている施設での施行が望ましい点が記載されています。当院では治療実績にお示しした如く、数年来この基準を超えています。心房細動の全ての方がアブレーションの適応になるわけではありませんが、動悸などの症状がある方は一度ご相談下さい。

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図1Ensite NavX(左)とCARTO®3

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図2CARTO®3を用いた心房細動の治療(肺静脈隔離、赤い点が焼灼ポイント)

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