呼吸器・アレルギー疾患内科

【肺炎について】

概要と特色診療担当表医師紹介診療内容診療実績

 一般に、 口や鼻から侵入した細菌菌が、のどから気管支をとおって肺にたどりつき、そこで増殖することによって起きる病気をいいます。ウイルスによるかぜやインフルエンザにより障害された気管支や肺の粘膜に細菌が落下・付着して起こることもあります。レントゲン写真をとると普通の正常の肺は黒く写りますが、増殖した細菌を攻撃するためにそこに白血球が集まったり、その結果痰がたまったりして肺炎の部分は白く写るようになります。したがって肺炎かどうかはレントゲン写真をとらないとわからないことになります。

どんな人がなるんですか?

 どんな人でもなる可能性があります。ただしお年寄りや生活が不規則で体力が落ちていたり食事をとれなくて栄養不良になっていたり、糖尿病・癌などの病気をもともともっていて抵抗力がおちた状態となっていたりすると肺炎になりやすいと考えられています。また最近は薬の効きにくい耐性菌という菌がふえているのが問題となっていますが、日常生活動作が低下し自立歩行が困難な方、3ヶ月以内に抗菌薬を使用していた方や入院歴のある方、肺炎がなおってまたすぐぶりかえしてしまった方やアルコール摂取量の多い方、ステロイド剤の治療を受けている方、胃薬(制酸剤)を使用している方やうっ血性心不全の方、肺以外の維持透析をうけている腎臓・肝臓など複数の内臓に病気を持っている方、経管栄養を使用している方はこの耐性菌にかかっている可能性があり注意が必要です。また老人ホームに住んでいる方や、気管支拡張症や塵肺などもともと肺に病気がある方なども特殊な細菌による肺炎をおこしやすいともいわれており注意が必要です。
 高齢化に伴い肺炎は日本人の死亡原因の第3位を占めるようになりました。高齢になると肺炎にかかりやすく重症化しやすくなり、肺炎による死亡者の95%以上を65歳以上の高齢者が占めています。

どんな症状がでるんですか?

 はじめは咳やのどの痛み、熱などでいわゆる風邪の症状とかわりはありません。ただし肺炎の場合は咳がながく続いたり、黄色や黒っぽい痰がでるようになったり、息をすうと胸の痛みが出るようになったりします。特に息苦しさを感じるようになると非常に重症な肺炎になっている可能性があります。たんなる風邪と思って無理をしていると手遅れになる場合もあり、上記のような症状がある場合には早めに病院にかかることをおすすめします。

肺炎を起こす菌はどんな菌があるんでしょうか?

 一般的に肺炎を起こすことで有名な菌は肺炎球菌・インフルエンザ桿菌・肺炎桿菌・マイコプラズマ・クラミドフィラクラミジアなどです。なかでも肺炎球菌がもっとも多く重症化しやすいいといわれていますが、この細菌の肺炎になると赤黒っぽい痰がでたりすることがあります。他には肺に病気がある方や免疫力のおちている方に肺炎をおこす緑膿菌や、温泉など水回りから感染して非常に重症になる可能性のあるレジオネラなども知られています。またこれらの細菌が複数同時に肺炎を起こすこともあります。

肺炎の予防にはどのような方法がありますか?

かぜやインフルエンザは肺炎に先行しておこる疾患として重要です。手洗い、うがいの励行や咳エチケットが奨められています。
※咳エチケット
咳・くしゃみが出るときは、ほかの人にうつさないためにマスク着用が推奨されます。マスクをもっていない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、ほかの人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
 インフルエンザワクチンを毎年接種することが推奨されます。
 肺炎球菌ワクチンを接種することで肺炎球菌肺炎の発症を予防し、重症化を抑制することが期待できます。65歳以上の高齢者、65歳未満でも慢性の基礎疾患(呼吸器疾患、心臓疾患、糖尿病)をもっている方は肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されます。
 予防接種法に基づき平成26年10月から65歳以上の高齢者に対して肺炎球菌ワクチンの定期接種制度が開始されています。対象となる年度にのみ、定期接種としての公費助成を受けられます。助成の有無や内容については、お住いの自治体によって異なる場合があります。 ※肺炎球菌感染症の予防接種は、すべての肺炎を防ぐものではありません。

どういう治療をおこなっていますか?

 お若くてもともと病気をもっていなくて症状の軽い方は外来で治療をすることもありますが、基本的には入院治療をおすすめしています。なぜなら一般に肺炎に対する治療としては抗生物質を使用しますが、即効性があるわけではなく効果が安定するまでに3~4日は必要とするため、最初は軽い状態であっても治療効果がでるまえに重症になってくることがあるからです。また当院では喀痰検査や気管支鏡検査、採血・尿検査などによって原因となる細菌を細かく調べながら治療を行っています。どんな細菌が肺炎を起こしているかという結果はすでに述べたとおりですが、諸外国の報告とかわりのないものでした。「日本は外国とはちがう。」という立場をもって治療を行っている病院もありますが、当院は当院の詳細なデータや中日本胸部臨床研究機構の多施設共同の肺炎研究データに基づいてアメリカ胸部疾患学会やアメリカ感染症学会などの国際的な肺炎治療ガイドラインをも参考にして治療を行っています。

どれくらいで治りますか?

 過去4年間に当院で入院治療をうけた患者さんは800名ほどおみえですが、そのうち集中治療を必要としない、いわゆる一般病棟での治療をうけた患者さんの平均入院日数は約11日でした。ですから程度にもよりますがだいたい早ければ5~7日、ながくても10~14日ぐらいの入院期間が必要と考えてよいかと思います。たいして重症肺炎で集中治療を必要とする場合はやはり長期の入院が必要と思われますが、過去4年間に集中治療を必要とした110名の患者さんのうち治癒退院された方々の平均入院日数は約27日でした。また集中治療を必要とするほど重症な場合は残念なことに肺炎によって命を落としてしまう場合もあり、当院の過去4年間における重症肺炎患者さんの死亡率は23%でした。 PORTスコアという肺炎の重症度を点数で表す方法がありますが、この点数から判断すると当院の重症肺炎患者さんのPORTスコアは平均で約130点となり、そこから予測される死亡率は約30%ですから良好な治療奏功率をあげていると判断しています。 集中治療が必要な重症肺炎の場合、NPPV(非侵襲的人工呼吸)やIPPV(侵襲的人工呼吸)が必要となりますが、当院では最先端の医療機器も導入しており(呼吸管理の頁参照)、そういった積極的な取り組みが治療効果をあげる事につながったとも考えています。

ページトップ