呼吸器・アレルギー疾患内科

【特発性肺線維症について】

概要と特色診療担当表医師紹介診療内容

 特発性肺線維症は診断や治療が容易でないことも多く、ときに予後が悪いこともあるため、専門施設も限られているのが現状です。当院では、広く県外からも多くの患者さんが紹介受診されるため(国内での症例数はトップクラスです)、スタッフも検査や治療に習熟しており、患者さんにも安心して、診療を受けていただいています。また、本疾患を中心に数多くの臨床研究の成果を国内外に発表しており、間質性肺炎の分野では世界的にも有名な臨床病院として位置づけられています。
 正確な診断・病状評価、的確な治療方針の選択、各種薬物療法に加え、リハビリテーション、酸素療法、人工呼吸療法、さらには、致死率が高いとされていた急性増悪時の迅速で的確な対応を行っております(陶生病院の最新のデータでは死亡率薬30%、呼吸管理について参照)。また、肺移植に関しては京都大学と密接な連携を取っております(2016年2月現在11例)。
 間質性肺炎でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 特発性肺線維症は、肺胞(肺を構成しているやわらかい小さな袋)の壁に"傷"が起こり、その修復のために壁が厚くなる病気です。そのため咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなって息苦しくなったりします。傷が起こる原因はまだ分かっていません。特発性肺線維症は次第に進行し、肺が固くなって膨らみにくくなり、呼吸が維持できなくなる場合もあります。初めの頃は安定していても、ある時期から進行し始めることがあります。
 国の難病に指定され、一定の条件を満たせば医療費の補助などが受けられます。 当院は、厚生労働省研究班の一員であり、新しい薬剤による臨床治験も行っております。

どのような経過をたどるのですか?

 進行には個人差がありますが、数年の経過で呼吸不全になることが多いとされます。なお、風邪をひいたことをきっかけとして1-2週間で急速に悪化すること("特発性肺線維症の急性増悪"と呼びます)があり、注意が必要です。また、特発性肺線維症の方は、健康な人に比べて、肺がんを合併する頻度が高く、特に喫煙をしている方は、病状が安定していても定期的な検査を受けることが必要です。

どのような検査が必要ですか?

 咳があったり、運動時に息苦しくなったりする場合には呼吸器の病気が疑われます。胸部レントゲンなどで特発性肺線維症が疑われましたら、以下のような検査を組み合わせて、特発性肺線維症と診断します。

問診票での調査 家族歴、喫煙の有無、職業(粉塵の吸入の経験がないか)、周囲環境(ペットや住居環境など)、鳥との接触歴、呼吸器以外の症状の有無
医師による診察 ばち指、聴診器での呼吸音の確認、その他の所見
血液中の酸素量 動脈血液ガス、パルスオキシメーター
血液検査 血清マーカー(KL-6, SP-D)や膠原病検査など
呼吸機能検査 肺に吸い込める最大の空気量や吐き出すスピードなどを調べます
運動機能検査 歩行や運動時の息切れや低酸素の程度を調べます
画像診断 胸部レントゲン、胸部CT(薄切りスライスでの詳細な断層撮影)
右心カテーテル検査 肺高血圧を調べるために、一時的に、腕もしくは太ももの血管から肺動脈へ細い管(カテーテル)を挿入し、各種測定をする検査です。
気管支鏡検査(必要時のみ) 息の通り道(気管や気管支)へ細い内視鏡カメラを挿入します。
外科的肺生検(必要時のみ) 肺の一部を切り出して、顕微鏡で観察します。最近では、患者さんへの負担が少ない胸腔鏡下肺生検が主流です。
特発性肺線維症の確定診断 画像診断で確定できる場合がありますが、専門家による判断が必要です。判断が難しい場合は外科的肺生検を行うこともあります。
どのような治療法がありますか?

 病気が軽症で、進行が速くない場合には症状に合わせて咳止めなどを使用します。また無治療の場合もあります。検査結果や症状が悪化する場合は、抗線維化薬の内服を行います。治療方針は個々の患者さんの状況に応じて決められます。病気が進行し、酸素が足りなくなった状態では在宅で酸素療法を手配し、呼吸リハビリテーションが有効なこともあります。さらに心臓への負担が強い場合には、心不全の治療も行います。
 症状が進んで、悪化する場合には肺移植の適応も検討します。(60歳未満であることが必須条件です)。
 また、当院では難病である本疾患に対して、新薬治験にも積極的に参加しております。

生活上どんな注意が必要ですか?

 特発性肺線維症では風邪の予防、禁煙、規則正しい生活など一般的な日常生活の管理が重要です。
 風邪の予防をこころがけましょう!風邪やインフルエンザをきっかけとして急に悪化することがあります。
●ふだんの生活では、次のことに気をつけましょう。
(1) 人込み(ほこり)を避け、冬はマスクをつけ、帰宅時には「うがい」と「手洗い」を習慣付けましょう。
(2) 寒い季節の儀礼的付き合いは出来るだけ避けましょう。
(3) インフルエンザの予防接種は毎年受けることをお勧めします。
(4) 長時間、飛行機に乗る際にはなるべくマスクをかけましょう。
●タバコは必ず止めてください!
たばこは肺に悪いだけでなく、心臓病の危険因子でもあります。糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併すると、治療薬を使いにくくなるので気をつけましょう。
●運動をしましょう!
天気の良い日は、散歩程度の適度な運動をしましょう。
●以下のように、悪化の徴候が認められたら、できるだけ早く病院に来てください。
(1) 運動したときや、動いたときに息切れや呼吸困難を強く感じる。
(2) 咳がいつもよりよく出る。
(3) 痰の色が黄色や褐色で、量も多い。
(4) 脈拍がいつもより速い、動悸がする。
(5) 顔や足がむくんで、急に体重が増える。
(6) 唇や爪の色が紫色になる。
(7) 体が熱っぽく感じられる。

 間質性肺炎,特発性肺線維症などのびまん性肺疾患に関しては、厚生労働省のびまん性肺疾患に関する調査研究班のメンバーとして活動し、さらに「厚生労働科学研究事業 びまん性肺疾患に対するエビデンスを構築する新規戦略的研究」班に参加するなど、多くの研究実績をあげています。多くの症例経験から、難病で判断が比較的困難な本疾患に対して、より適切な診断と治療を行っています。急性増悪などの重症の急性呼吸不全に対しても、最新の呼吸管理や治療法を駆使して治療にあたり国際水準以上の成績をあげています。常時ではありませんが、新治療開発のための治験も行っております。
 世界で初めて特発性肺線維症治療薬として承認された “ピレスパ®”や、2015年度より承認された“オフェブ®”の抗線維化作用のある新薬治験では、陶生病院から多くの患者さんの登録を行い(全国2位と世界2位)、難病である本疾患の治療薬開発にも貢献しております。
 特発性線維症の治療は、この数年上述のような抗線維化薬が、肺活量(肺に吸い込める最大の空気量)の低下を抑制することが実証され、治療法がないといわれていた頃と比べ、いっそう適切な診断・治療方針の検討が望まれる時代に移り変わってきています。さらに新薬治験も数多く行われつつあり当院では国内外の治験に積極的に参加しております。

外来通院患者数(2015年1年間)
 特発性肺線維症     210名
 特発性間質性肺炎    687名
 膠原病関連間質性肺炎  181名

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