産科部門

分娩を希望される方へ

 皆様すでに妊娠と診断されお喜びのことと思います。でも時には、「胎児は順調に発育しているかしら」「お産を無事に乗り切れるかしら」などと、不安が頭をよぎることもあるかと思います。
 私たち産婦人科医は助産師・看護師と一緒に、母児ともに安全に分娩が終了するようにお手伝いをいたします。
 妊娠から分娩まで、その過程が順調に進むことが理想です。しかし時には医学的処置を必要とする状況が生じることもあります。またその場でゆっくり説明をする時間がないこともあります。よって、そのような場合に分娩の場においてどのようなことが行われているのかを皆様が分娩に臨まれる前にあらかじめ知っておいていただくことが大事だと思います。
 ここに私たちが日常に行っている分娩時の対応についてお知らせいたします。以降の事項をご理解いただきたくお願いいたします。
 分娩は病気ではありません。母児ともに自然に安全に分娩が終了することが理想的です。
 しかし、妊娠・分娩では正常に経過していても突発的に思いもよらないことが起る可能性があります。そのような時でも適切な処置をとることによって、児の安全が確保されます。
 私たちは、安全な分娩のために日々修練を積み、必要な処置を適時適切にとることができるよう学び続けております。
 当院で分娩をされるにあたっては、私たちの分娩方針を十分に理解し納得していただいた上で「分娩についての同意書」に署名してくださいますようお願いいたします。
※ご不明な点やご心配なことがありましたら下記にご連絡ください。
 平日:8時30 分~ 17 時15 分 0561-82-5101(産婦人科外来)
 上記以外:0561-82-5107 または070-5038-6273(3D病棟直通)

 陣痛促進剤は、予定日を過ぎても自然に陣痛が来ない場合や、陣痛があっても分娩の進行が見られない場合に用いられます。分娩誘発や陣痛増強は、児にとって利益があると考えられる医学的適応によってのみ行われるものであり、病院や医師の都合で分娩誘発をするものではありません。

分娩誘発(予定日を過ぎても、あるいは破水をしたのに自然陣痛が来ない場合に陣痛を誘発すること)

 予定日を2週間以上過ぎると、胎盤の機能が低下し、そのまま放置するとお腹の中で赤ちゃんの状態が悪くなることがあります。これが過期妊娠です。したがって過期妊娠にならないように、その前に陣痛促進剤を用いて陣痛を起こします。  陣痛促進剤は少量から開始し、分娩監視装置により赤ちゃんの状態を胎児心拍で観察し、子宮収縮(陣痛の強さ)をモニターしながら投与いたします。具体的には陣痛促進剤を500ml の糖液に溶かして低濃度にし、さらに微量調整のできる輸液ポンプを使っています。したがって、子宮収縮が強くなりすぎること(過強陣痛)は通常ありません。万一そのようなことになっても投与量を減らせば子宮収縮を弱めることができるので、子宮破裂や胎児機能不全などの危険性は十分回避できます。このように細心の注意を払って陣痛促進剤を使用しておりますので、ご安心ください。  また、陣痛がないのに破水してしまった場合(前期破水)には、子宮内感染の有無を調べ、赤ちゃんやお母さんの状態を十分に検査した上で、陣痛促進剤を用いて分娩誘発を行います。

陣痛増強(陣痛が弱いとき)

 陣痛が徐々に強くなると子宮口は開大し、赤ちゃんは骨盤の中へ下がってきます。 しかし、陣痛は来たものの、なかなか強くならない場合があります。このような場合は、赤ちゃんが長時間子宮収縮によるストレスを被り胎児機能不全になったり、また、母体も疲労して分娩の進行がさらに遅れる(分娩遭延)ことになります。したがって、この場合にも陣痛促進剤を使用します。

 私たちはすべての産婦の方に会陰切開を行っているわけではありません。膣壁の進展が十分でないために分娩の時に膣が裂けると予測される場合に行っていきます。膣壁縫合には自然に溶ける吸収糸を用いて、可能な限り傷がきれいになるように努力しています。

 分娩中に赤ちゃんの状態が悪くなることがあり、その程度がひどい場合には急いで分娩に持っていかないといけません。この場合、子宮口が全開大で、かつ、児頭が鉗子分娩・吸引分娩を行える位置まで下がっていれば、経膣分娩による急速遂娩(鉗子分娩・吸引分娩)を行い、それ以外の場合は帝王切開をおこないます。

吸引分娩・鉗子分娩

 赤ちゃんが産まれにくい場合に器具を使用して胎児を引き出す分娩方法です。胎児が産道の出口付近まできて分娩の進行がとまり、長時間の分娩となった場合、へその緒が首に絡まっている時、胎児の心音が弱まった時などに緊急手段として用いられます。
 吸引分娩は膣内の胎児の頭に金属かシリコンの吸引カップを着けカップ内の空気を抜いて、頭に密着させ、いきみにあわせ吸引力によってひっぱり出します。
 鉗子分娩は大きなスプーンのような鉗子を使います。鉗子は左右2 本で一対です。それを膣の中に挿入し胎児の頭を両方から挟んで引き出します。
 吸引分娩・鉗子分娩どちらにするか、状況により違いはありますが、基本的には同じことを、違った手段で行うということです。吸引分娩・鉗子分娩は人為的な力が加わることで児や母体を傷つける心配もありますが、母児の安全を守るためにはやむを得ない手段です。

帝王切開術

 帝王切開は、妊娠中や分娩中に胎児の状態が悪くなった場合や、妊娠高血圧症候群やさまざまな合併症、さらに母体疲労などの母体の調子が思わしくない場合など、普通のお産では母児を救うことが難しいと判断されればおこなわれます。
 現在、帝王切開は手術法や麻酔法の進歩により安全に行われるようになりましたが、100%安全な方法ではありません。帝王切開では経膣分娩に比較すると、術中の出血、術後の血栓症や感染症の危険があります。このような合併症の頻度は高くはありませんが、重症の場合は危険です。
 さらに、帝王切開をした場合、次回の分娩で子宮破裂の危険性も生じてきます。したがって帝王切開を安易に考えてはいけません。私たちは、母体と胎児の状態をあらゆる面から十分に検討した上で帝王切開が必要と判断したときに、細心の注意を払って施行しています。帝王切開が比較的安全な分娩様式であることは、このような努力の上に成り立っていることを十分理解してください。

 帝王切開術や鉗子分娩だけでなく正常分娩、さらに前置胎盤や頚管裂傷、膣壁裂傷などにより、分娩時に思いがけず大量に出血することがあります。出血多量の場合救命のためには輸血は絶対に必要です。輸血を行う場合があることを了承しておいてください。当院では、常に一定の保存血が用意されているので、大量出血に対しても十分に対応できます。
 また当科では前置胎盤などで帝王切開術を受ける方など、あらかじめ分娩時に出血が予想される患者さんに対しては、自己血貯血を行っております。そのような患者さんへは、妊婦検診時に担当医より説明があり、納得していただければ同意書にサインをしていただいた上で、自己血貯血の準備をします。

 当院では周産期母子センターとして、常に小児科医と密接な連携をとりながら、赤ちゃんの管理を行なっております。
 分娩後はおなかの中とは環境がまるで違います。その環境の変化に対応するため生まれてからの赤ちゃんには大きく変化が起こります。変化にうまく対応できない赤ちゃんや変化の中で異常がわかる赤ちゃんもいます。その場合はNICU で入院管理となります。
 お生まれになった赤ちゃんは特に問題がないように見えても、24 時間は新生児室でお預かりしています。そして小児科医の診察後、母児同室となります。当院は母児同室制です。

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