鼠径ヘルニアとは、お腹の中の脂肪や腸がお腹の壁の弱い部分を通って足の付け根のあたりに膨らみとして現れる状態です。脱腸とも呼ばれ、違和感や痛みを伴うこともありますが、手術で治すことができます。従来は、大きな切開をして直接ヘルニアを修復する『鼠径部切開法』と、小さな切開をしてカメラと特殊な器具を使っておなかの中からヘルニアを修復する『腹腔鏡手術』とが行われてきました。

 陶生病院では鼠径ヘルニアに対する新たな低侵襲治療として、手術支援ロボット“da Vinci”を用いた「ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術」を2023年10月から施行しております。これまで当院では2012年のda Vinci導入以来、外科・泌尿器科・婦人科において多くのロボット手術を行っており(2023年10月現在で800例を達成)、この経験を活かして本術式を開始いたしました。

 欧米では標準的な術式の一つですが、日本国内で本術式を導入している施設はいまだにごく少数です。現在のところ日本での保険診療の適応は無く、自由診療となる治療です。

【da Vinciによるロボット支援下手術の長所】

・3Dかつ拡大視野による詳細な解剖の把握
・手ぶれ補正機能
・多関節機能を用いた手術用アームによる精緻な操作

 これらのメリットを最大限に活用することで、より患者さんのからだに優しい手術を行うことが可能です。

 「ロボット支援下鼠径部ヘルニア修復術」では、従来の方法と比較して術後の痛みの軽減や合併症率の低下などが期待されています。

 ロボット支援下手術という最先端の手術をより多くの患者さんにご理解いただけるように、当院ではロボット支援下による鼠径ヘルニアの手術としては比較的安価な費用設定で手術を受けていただけます。(詳しくは診察の際にご説明させていただきます。)

 患者さんにあった適切な治療を提案させていただきますので、お悩みの方は是非一度ご相談ください。

         公立陶生病院 外科