当院では、令和6年11月18日に不整脈治療として行う心臓カテーテルアブレーションの新しい技術であるパルスフィールドによる治療を実施しました。
愛知県内においてパルスフィールドの実施病院は、当院の実施時点で、まだ8病院のみであり、県内公立病院では初の事例となりました。
パルスフィールドは、世界的には主流になりつつあり、本邦でも今後主流になっていく治療法です。
① 心臓カテーテルアブレーション
不整脈の根本的治療方法として心臓カテーテルアブレーション(以下、「アブレーション」という。)があります。
アブレーションは、細い管(カテーテル)を脚の付け根から血管(静脈)を通じて心臓に入れ、心房細動の原因となる不規則な電気信号の発生部位を焼灼(アブレーション)することで、異常な電気信号の流れを遮断し、不整脈の原因をなくしてしまう治療法です。
② これまでのアブレーション(焼灼)方法
これまでのアブレーション方法は、心臓に入れた細い管(カテーテル)の先から高周波を流し、心筋の一部に熱を加えて火傷させる方法、冷凍により凝固させる方法の2つの方法が主に用いられてきました。
③ 最新のアブレーション-パルスフィールドについて
今回当院で実施したパルスフィールドアブレーションは、短時間の周期(パルス)で高電場(パルスフィールド)を発生させることで細胞膜に小さな穴をあけることにより細胞死を誘導する方法であり、従来方法のような温度変化(熱)が発生しないことが大きな特徴です。
④ 従来方法からの進化
従来の高周波や冷凍のアブレーションでは、温度変化(熱)が生じることから、少なからず患部以外の心筋周囲組織(食道や横隔神経、肺静脈)に影響を与えることがありました。
一方、パルスフィールドアブレーションでは、心臓にのみ作用して治療の目的を達成することが可能であり、心筋周囲組織に関する合併症の発生リスクを低減できるようになりました。
そのため、有効性は従来方法と同等であるものの、安全性がさらに高まると共に、パルスフィールドの特性から手術時間の短縮も可能となっています。
⑤ 現在の状況
現在当院は、システム試用段階ですが、11月の初症例以降、約40例実施しており、良好な結果を得ているところです。特に、手術時間が従来の高周波アブレーションに較べ、1時間程度短縮するため、パルスフィールドの特徴である患部以外にダメージを及ぼさないという特徴と相俟って、患者負担の軽減につながっています。
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